2014年10月20日

手仕事

ちまたでは無垢の家具が工業製品でも広く出回っています。安価で品質も良いものもあるので、僕たちのような木工家は自分達の家具との大きな違いを主張しづらくなっているように感じます。

しかし昨年、ウィンザーチェアの名手・故村上富朗氏の椅子を実際に見て触る機会があり、座り心地や手触りなど工業製品には出せない魅力を改めて教えてもらえた気がしました。

中でも僕が特に気に入っているのは、鉋で削った跡を木地表面に残し、その上から拭き漆を施している椅子です。数十年使われ、さらにこれからも味わいを増していきそうな魅力を持っていました。
これまではノミの彫り跡や鉋の削り跡を残すことになんとなくわざとらしさを感じていましたが、氏の椅子に出会ってからは考えが変わってきました。

今年の春に作ったbcd-3はそのような影響をうけて試みた椅子です。

bcd-3 (来週の26日、銀座にオープンする長野県初のアンテナショップ「銀座NAGANO」(http://www.ginza-nagano.jp/)内のイベントスペースにこの椅子をはじめテーブルなども納めさせていただくことになりました。)

同じく春頃に作った工場に飾っているポスター用の額には、思い切って全面をノミで彫ってみました。手間のかかる作業ですが、木工の楽しさを思い出しました。彫り跡には計算通りには出せない木の表情が表れています。





アフリカンな土っぽい感じもするしカクカクしたところが少しデジタルな感じもして気に入っています。来年中には商品化できればと考え中です。


オオフカ
posted by ベルカ at 21:40| 家具製作
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