亀やきのこに関する本はなるべく買うようにしているのですが、読むのが追い付かず放置している本もいくつかあります。
ずいぶん前に買った『ひとりぼっちのジョージ』(ヘンリー・ニコルズ/早川書房)も、先日ようやく読み切りました。
読むのを中断している間に、当の「ロンサム・ジョージ」こと、最後のピンタゾウガメは亡くなり、またそのあとにはピンタゾウガメの遺伝子が混入したカメたちが発見された、というニュースも話題になりました。
そのことを念頭にこの本を読むと、人間たちがピンタゾウガメの存続をかけて右往左往する様子が、なんだか空しくも思えてしまいます。

在りし日のジョージ。ピンタゾウガメはピンタ島固有の種です。
私が前回読み終えたのは、ロンサム・ジョージの発見、そして、彼の子孫を残すための研究者の奮闘ぶり、というところまででした。
このままジョージのことに終始するのだろうな、と思いながら読書を再開したのですが、話はジョージを保護する研究所の周辺、さらには人間と野生動物とのかかわりにまで広がっていきます。
研究所ではガラパゴスの固有種を守るためにあらゆる努力がなされるのですが、住民の利益と反するために、衝突が起きてしまいます。
また、固有種でない動物たちは、容赦なく駆逐されていきます。
ジョージの子孫を残すための取組みが書かれた章では、人工的な生殖、クローン技術などについて書かれており、人間はここまで生命を操作することができるのか、と少し怖くなりました。
カメのことと気楽に読み始めましたが、重いテーマを突き付けられ、考えさせられることの多い本でした。
その後ピンタゾウガメについてニュースは聞きませんが、なるべく気にかけていきたいと思います。
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