2012年02月20日

死者の書

大して詳しくはありませんが、人形アニメーションが大人になってから好きになりました。
あの独特な動きのせいか、シリアスな内容であってもどこかコミカルなかわいらしさを感じてしまいます。

人形アニメーションといえば、チェコや東欧の国などの作品が有名ですが、我が国にもNHKの「三国志」などを手掛けたことでも広く知られる川本喜八郎がいます。
先日、川本喜八郎人形美術館というものが県内にあるのを知ったので、そこで上映されている「死者の書」を観てきました。

長野県飯田市にあるこの美術館はこれまで製作に携わった人形約200体を展示、映像ホールでは川本作品の他、国内外のアニメーションを中心に上映されています。タルコフスキーの「鏡」なども上映されていたようです。
どうやら飯田市には江戸時代からの人形浄瑠璃の文化が根付いているらしく、行政も「人形劇のまち」として力を入れているようです。


川本喜八郎人形美術館

「死者の書」は川本喜八郎が亡くなる5年前、80歳の時に作られた作品です。
原作は折口信夫による小説で奈良時代の平城京が舞台です。原作の難解さとテーマの大きさからか、構想に30年を費やしたと言われています。

川本がこれまで人形の世界をとおして一貫して表現してきたのが、人間の”執心”(何かにとらわれている心)。
この作品が集大成と言われる要因は執心からの解放で、仏教用語で言うところの”解脱”にいたる境地まで踏み込んでいるところです。


公開時のパンフレット  音楽も素晴らしい

作品と同じくらい楽しめたのが、「死者の書」のメイキング映像。
舞台裏には、人形をミリ単位で動かし、24コマ撮影してやっと1秒間という大変な苦労が存在しています。
眼球の中芯にある小さな穴に針を入れて少しずつ動かしたり、髪の毛一本一本をワイヤーで吊り上げて動かすといった気の遠くなるような作業の様子が紹介されていました。

岸田今日子、江守徹をはじめ声優陣も蒼々たるメンバー。
媼役を演じた黒柳徹子が例の髪型でない姿でアフレコに臨んでいる姿も一瞬見ることができました。
黒柳さんは、川本監督とは若い頃からの友人だそうです。あの声が役柄にはまっていて、作中一番魅力のある登場人物でした。

帰ってから、原作を読んでいる途中ですが、さすがに難解と言われるだけあって、映画とセットになってその全貌がようやく理解出来るような気がしています。
これ以外の川本作品も全て大好きなので機会があればまたブログでとりあげようと思います。


美術館のそばにある饅頭屋さんで”亀まんじゅう”なるものが売っていました。おすすめです。


オオフカ
posted by ベルカ at 21:58| 日記

2012年02月06日

小物のメンテナンス

先日、工場付近の最低気温が−14℃を記録しましたが、昨日あたりから若干寒さも和らぎ、峠を越えた気配がしてホッとしているところです。

今回は、ベルカで作った小物のメンテナンス方法を紹介します。
キッチンでつかう小物のメンテナンスなので、家具の場合は使用するオイルやお手入れの仕方も違います。)

色々なやり方がありますが、今回は身近にあるもので簡単にできる方法です。
長年使っていて表面が白っぽくかさつき、刃先が丸くなっているようでしたら、簡単なお手入れで見違えるように変わりますので、試してみてください。


用意する物は、
・クルミオイル(スーパーで売っている食用のもの。無ければオリーブオイル。)
・サンドペーパー#320(紙ヤスリ。ホームセンターで売っています。)
・綿のウエス
※メンテナンスをするカトラリーやお皿は水気を切って十分に乾かした状態にしてはじめてください。

まず、サンドペーパーを木目に対して平行に動かして研ぎます。
サンドペーパーは、写真のようにある程度の大きさに切り、二つ折りにして持つと使いやすいです。
1分も研げばかさつきは無くなっていると思います。バターナイフの場合、手が切れない程度に刃先を鋭角に研ぎます。

かなり刃先が丸まっている場合は#180くらいのサンドペーパーで鋭角に研ぐ必要があります。#180で形が決まれば次に#240で研ぎ、最後に#320でなめらかなさわり心地に仕上げます。


バターナイフに#320のサンドペーパーをかけているところ。

次に、オイルをウエスに染み込ませて木肌になじませるように塗ります。
余分なオイルを拭き取ってから半日〜1日ほど日陰で放置し、一度ぬるま湯でさっと洗えば完了です。バターナイフの場合、オイルを塗り終わるまで3分くらいでした。

写真のバターナイフ(ブナ材)は3年間ほど一回もメンテナンスをせずに自宅で毎日使ってきたものです。
どのように変化するのかを知りたかったので、この1本はあえてメンテナンスを避けてきましたが、思ったより摩耗しませんでした。ブナよりも柔らかいウォールナットだともっと摩耗して刃先が細かく欠けていたことでしょう。


メンテナンス前。オイル成分はかなり無くなってかさついています。


メンテナンス後。ツヤが戻ってしっとりとした触り心地。

気がついた時にでもいいのでこのようなメンテナンスを繰り返していけば、木が深みのある色に段々と変化していく様子を楽しむことができます。

パン皿に関しては、オイル成分が無いほうがパンの湿気をより吸収するので、メンテナンスをしなくても構いません。



つやつやに復活すると気持ちよく使うことができます。


オオフカ
posted by ベルカ at 21:27| 家具製作
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