2011年07月20日

旅行者の朝食

本のなかでおいしそうな食べ物の描写が出てくると、そこばかり繰り返して読んでしまいます。

内田百閧フ『御馳走帖』や森茉莉『貧乏サヴァラン』といった食のエッセイに書かれているものは、普通の食べ物なのに、自分が食べているのとは全然別のものように思えます。
武田百合子の『富士日記』などは、その日食べたメニューが書いてあるだけでも、なぜかとてもおいしそうに感じてしまいます。

「食に関する本」を本屋さんで探していて見つけたのが、米原万里さんの『旅行者の朝食』です。


米原さんはロシア語通訳の第一人者といわれ、ロシア国内の文化・政治などにも造詣の深い人物です。

このエッセイは、食べ物の描写もよいのですが、それだけでなく、幅広い知識に裏打ちされた食べ物に関するうんちくがとてもおもしろい一冊です。

ロシア人が愛してやまないウォッカに関する章では、ウォッカに対するロシア人の思い入れについて、国内外の文献を引用しつつもユーモアあふれる文章で書かれています。

他にも、ロシアのすごくまずい缶詰の話、子どもの頃食べた幻のお菓子を探す話など、おもしろいだけでなく、ロシアや東欧の文化や歴史が織り交ぜられており、読み応えがあります。

米原さんは残念ながら2006年に亡くなられましたが、自身の発明にからめて社会情勢を読み解く『発明マニア』、行く先々でつい保護してしまう犬猫たちとの出会いと別れを書いた『ヒトのオスは飼わないの?』など、おもしろい本をたくさん遺されています。

『旅行者の朝食』を読む限り、米原さんは美食家であるとともに、ずいぶん大食漢だったようです。
私はあまり胃が丈夫でないので、とりあえず本の中でおいしい食べ物を楽しんでいます。


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posted by ベルカ at 19:28| 日記

2011年07月13日

スプーンの試作

ベルカで扱っている小物はお客さんからのオーダーをきっかけとして定番化したものがほとんどです。
現在製作途中の折敷、9寸皿(直径27p)、バターケースも全てお客さんからのご要望やご注文があったものです。
新しい商品を作る時はいつも試作品を作っています。試作品は自分で(時には依頼主が)実際に使ってみて改良点や耐久性を確かめてから商品化しています。
何パターンも作るので、バターナイフのように6種類も商品化することもあればお蔵入りになる事もあります。
あまり形で悩む事はありませんが、毎回耐久性や使い勝手で苦労します。

今回はまだ試作段階ですがスプーンの製作工程を簡単に紹介します。


@型紙を使って墨線を書く。(写真左)   A糸ノコやバンドソーで墨線どおりに切り出す。(写真右)


B丸ノミや彫刻刀で凹部を彫る。(写真左)仕上がりに近づくにつれて指で触って確認しながら慎重に彫る。
C凹部に彫り跡が残っているので(写真右)サンドペーパーで研いでいくと下の写真のようになる。ここも慎重に研がないと
凹部や端部分がぼこぼこになってしまいます。


D持ち手部分などをなめらかにするため角張っている所を削る。裏面も
Eサンドペーパーの目が粗いものから細かいものへと段階的に上げて#320まで研いでいく。

 
Fオイルを塗る→乾燥を3回繰り返して完成。


今回は小と大を作ってみました。
作り慣れていないせいもありますが、今回のように時間がかかっていてはとても採算が合わないので定番化はまだまだのようです。ここまで紹介しておいて何ですがお蔵入りかもしれません。

とりあえず家でスープやヨーグルトを食べるのに使って様子を見てみます。
木のスプーンは口に当てた時の感触が優しいので使うのが楽しみです。

オオフカ
posted by ベルカ at 00:00| 家具製作
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